2002年12月後半

 

12/16 「メールマガジン、始めました」
12/17 「野外上映するなら、35mmは必要かと」
12/20 「押し入れくらいの大きさはあります」
12/21 「ていうか、お金あるの?」
12/22 「年末特別コレクションセール開催します!」
12/23 「映画配給はベンチャーキャピタル」
12/24 「スタジアムの閉鎖は寂しい」
12/25 「もしもし、いま映画観てんねん」
12/26 「わざわざ東京から来られる方もいてね」
12/27 「95年のギネスブックに載った映画館」
12/28 「朝日がサンサン、おはようさん」
12/29 「カラオケボックスに映画館?」
12/30 「参加することに意義のある映画」
12/31 「それじゃあ、宿題ね!」

 

 2002/12/16


「メールマガジン、始めました

西宮に映画館を建てよう計画
「ニュー・西宮・パラダイス」
を始めて、はや2ヶ月半。
その間、驚くほどに人脈が広がった。

おかげさまで、
活動の推進力を得ただけでなく、
サイト閲覧者の数も増えた。
恋にも就職活動にも敗れ、
底なし沼に飲み込まれた2年半前の
「1日のアクセス数1」状態など、
今ではいい思い出。
読者が多いということは、
単純にうれしいものである。

そして、せっかくつかんだ人脈を
手放さない努力も必要。
いよいよメールマガジン発行に着手する。

ホームページを閲覧する、
というのは実はなかなか骨が折れる。
しかも僕のページは文量も多く、
毎日更新を心がけても
毎日読んでもらえるわけではない。
だから、せめてメールだけでも読んでもらいたい、
そんな思いが湧きあがってきたのだ。

思い立ったが吉日の、見切り発車もいいところ。
まだタイトルすら決めていないが、
とにかく読者を募ることにした。

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登録される方は、こちらにチェックを。
解除される方は、こちらにチェックを。



内容は、過去掲載分のダイジェスト、
そらにメルマガ独自のコンテンツを予定。

この機会を、お見逃しなく。

 

つづく。

                                  

 2002/12/17


「野外上映するなら、35mmは必要かと」

映画館建設の足掛かりとして、
上映会を目論んでいる。
映画の興行を身近に感じるという経験、
映画を通じて「集客する」という実績、
それらを得ようと思っている。

中でも母校・関西学院大学における
広大な中央芝生での野外上映は、
かつて学園祭で行なわれていたこともあり、
経験、実績うんぬんを度外視しても
やりたいことのひとつだ。

そこで、関学の自主映画サークル出身者に会い、
いろいろ話をさせてもらった。

まず、関学には公認団体として
自主映画サークルと映画研究部(映研)が
それぞれ1つずつあり、
「作る」と「観る」に別れているそう。
もちろん「作る」側にも「観る」機会はあるが、
それは自主製作物を公開する上映会のみである。
対して映画研究部は、自分たちがセレクトした
映画の上映会を開催する。
学園祭での野外上映は、
おそらくは映研の担当だったとか。

問題は、最近、映研の活動が芳しくないこと。
映研の部員たちと直接お話したことがなく
陰口みたいで恐縮だが、
野外上映のみならず、大学施設内での上映会すら
最近は行なっていないようなのだ。

僕が大学1年や2年の頃、映研は
学園祭でもなんでもない平日に
4日連続の上映会を開催するなど、
目立った活動をしていたのを覚えている。
授業の空き時間にふらっと訪れて、
一番前の席で爆睡するという
サイテーな観客ぶりを発揮してしまったが、
それでもしっかり記憶している。
観た(そして寝た)のは『猿の惑星』だ。

今、仮に、映研が映研として機能していないならば、
「一緒にやろうよ」と話をもちかけるより
僕が機材をどこかから借りてきて、
大学側に上映許可をもらえばいい。
しかも聞けば、機材は学校にあるというじゃないか。
先述の自主映画サークル出身者に、真相を確かめた。


松岡:なんかスクリーンとか学校にあるらしいね。

自主:あー、あのデカイやつですかね。
   あれ、うちの部室に置いてあったんですけど
   邪魔者扱いされてて、最近捨てられました。

松岡:なにーっ!
   じゃあ、設置するためのポールとかは?

自主:鉄パイプのやつがありましたけど、たぶん…。
   今度、確認しておきますけど。

松岡:マジかよー。

自主:映写機とかはあるんですけどね。

松岡:お、そうなんや!
   それって何ミリの映写機?
   オレよく分からんのやけど、
   野外上映するには35mmは必要って聞いたよ。

自主:うちのは8mmです。
   そうですね、野外上映するなら、35mmは必要かと。

松岡:え、ていうか、ちょっと待って。
   8mmとか35mmとかって、なに?
   あの円(リール)の直径?

自主:いや…。

松岡:ってちゃうわ、そんなわけないやんけ(笑)。
   35mmって3.5cmやん。
   そんな小さいやつがあるか。
   あ、そうか、わかった、
   フィルムの幅のことを言うのか。

自主:…はい。


恥ずかしくなってきた。

とりあえずフィルムの基礎から学ばないと。
このままでは楽器が弾けないくせに
「バンドやろうぜ」みたいなノリになってしまう。
「オレ、叩くの好きやからドラムやるわ」みたいな。
「わたしフェラ好きやから尺八やるわ」みたいな(…ゴメン)。

いや、そういうノリも大事だけれど、
いずれ映画でお客さんを呼ぶというのなら、
然るべき知識は必須項目。

よし、いろいろ調べてみよう。

 

つづく。

                                  

 2002/12/20


「押し入れくらいの大きさはあります」

さっそくフィルムについて、調べてみた。
(さっそくとか言う割に、3日ぶりの更新すまぬ)

映画は映写機にフィルムを装着することで、
初めて映像をスクリーンに投影することができる。
リールと呼ばれる車輪のような個所に
フィルムを走らせるわけである。



これは16mmの映写機


その、リールとフィルムのが一致するサイズ、
つまり規格として、
8mm、16mm、35mmなどが挙げられる。
他にも規格はいくつかあるが、
世に登場した順は「大→小」らしい。
CDがDVDになるような「機能拡張」ではなく、
軍事技術を民間に落とし込むような
業務用から家庭用へ、の流れと言える。

つまり恐らく最小サイズの8mmは、
最も生活に身近な規格であり、
映画を自主制作する映画好きたちの
夢と希望を叶えるものだった。
8mm専用のカメラで撮った作品は
「家庭用小型映画」と称され、
1975年(昭和50年)に全盛期を迎えたとか。
(16mmだと制作費が一気に跳ねあがるため、やはり8mmが好まれた)

しかし今、8mmは絶滅寸前。
8mmの中にも規格が分かれていて、
ビデオにおけるVHSとベータのような違いがあり、
コダックが開発したフィルム「スーパー8」は
現像(静止画のカメラと原理は一緒)に出すと
海外に出され、出来上がるのに2、3ヶ月はかかる。
つまり、日本での現像サービスは終了済み。
富士フィルムの「シングル8」なら
かろうじてOKのようだ。

初期投資以外はコストがかからない、
それでいて編集作業も容易な
ビデオ、デジタルビデオの登場が
自主制作の映画人に変化をもたらした。
フィルムの質感はビデオでは再現できず、
独特の味わいを求めて8mmに固執する
映画好きも多いけれど、
企業の側が将来性を見込んでいないのが実状。

なお、映画館で上映する映画フィルムの
ほとんどは、35mmサイズらしい。
幅が大きい=フィルムが長い、ようで、
2時間の大作となると
とても8mmでは追いつかない。
ちなみに『ニュー・シネマ・パラダイス』は
3時間以上の長編であるため、
フィルムが2巻に別れていて、
35mmの映写機を2台用意しなければならないらしい。

上映会を、開きたいと思っている。

合法的に上映会を開くなら、
正規のルートで映画会社から
フィルムを借りなければならない。
作品によりけりだが、35mmフィルムは
1本10〜15万が相場らしい(田中健さん曰く)。
加えて映写機レンタル、スクリーン設置費、
人件費、などがかかるわけで、
経費の面をまず考えないといけなくなる。

再び、自主映画サークル出身者に聞いた。


松岡:例えば野外上映するにしても、
   8mmでこじんまりとやったらいいんじゃないの?

自主:でもそれだったら、学生が自主的に作った
   しょぼい作品しか上映できないですよ。

松岡:となると、やっぱり35mmか。
   なんか機材がでかいって聞いたけど。

自主:はい、35mmの映写機だと、
   
押し入れくらいの大きさはあります。

松岡:でかっ!

自主:はい(笑)。

松岡:じゃあ、逆に普通の(?)映画をやるなら
   それなりの場所が必要になってくるわけか。


経費、場所、そして肝心の作品。
これらを総合的に考えないと、
実質、上映会を行なうことは困難だ。

さあて、難しくなってきた。

 

つづく。

 

参考:http://cine8mmfilm.tripod.co.jp/
   (8mmFILM大百科)

   http://www.sam.hi-ho.ne.jp/scarecrow/
   (自主映画制作団体「SCARECROW FILM」)

                                  

 2002/12/21


「ていうか、お金あるの?」

そう聞かれると、
「いやあ、松屋の並盛がお友達ですから」
と答えるより他ない。
毎晩、290円の牛丼しか食べていない。
映画館なんて、ポケットマネーで作れるはずがない。

資金集めには、いろいろ方法があると思う。
映画会社と利害が一致すれば、タッグを組んで、
資金提供、費用減額、あるいは作品提供といった
「協力」を仰ぐことができる。
そのためには、ビジネスの視点でもって
企業を説得する材料が必要になる。
日々、企業に売り込みをする
「毎日が就職活動」である僕の、
最もやりがいを感じるところである。

あるいは、行政支援。
民意を反映した街作りプロジェクトの一環であり、
それが街にとって将来性があるならば、
その重い腰を上げてくれるかもしれない。
保守的な土地柄・西宮、なのはもちろんのこと、
そもそもお金の絡む話であり、
市民の税金の注ぎどころに対しては
慎重にならざるを得ない、という立場は分かる。
それを納得させるべき綿密な調査と
芸術なまでのプレゼンテーションでもって、
なんとか実現してみたい。
(うわー、難しそー)

理想を言えば、足ながおじさん。
文化・芸術、あるいは頑張る若者に
私財を惜しまない気っ風のいいお方。
できればチョビヒゲが生えていて、
タキシードにシルクハットな英国風

のおじさまを期待するが、
お金を出してくれるなら文句は言うまい。
とにかく誰か、資金援助してくれる方いませんか。
しかも株主的な発言権すら放棄する人。
(うわー、ぜーったい、いなさそー)

ともあれ資本家(Shihonka)政治家(Seijika)
先人(Senjin)市民(Shimin)の4つのSに
改めてメッセージを発信したい。

と同時に、他力本願な自分も改めたい。
3億円の宝くじが当たったら間違いなく投資しよう。
所ジョージに誓って約束する。
ただ、今できる最高の努力でもって、
自前の映画館建設もしくは上映会を行ないたい、とも思う。

あ、いいの見つけた。





はるばるイタリアより入荷。
おしゃれなイタリア製手まわし映写機「ムプレット」。
なんと8,800円!(新品)

ど、どうでしょうか…。

 

つづく。

 

参考:http://film.club.ne.jp/item/muplet.html
   (ムプレット販売案内)

   http://film.club.ne.jp/
   (国内唯一の8ミリフィルム機材専門店「レトロ通販」)

                                  

 2002/12/22


「年末特別コレクションセール開催します!」

西宮に大量の映画がやってきた。
といっても、グッズの話。
チラシ、半券、パンフレットなど、
映画通を唸らせるグッズを取り揃えた
お店「シネマガイド」がこの度、
尼崎から移転してきたのだ。

昭和60年から営業してきたという同店。
ホームページによれば、
越してこられた理由はこうだ。

---

阪急西宮北口より徒歩2分の場所へ移転することになりました。
交通アクセスが不便であったつかしん店では、
何かとお客様にご不便をおかけしてまいりましたが、
今回の西宮北口移転により、大阪方面からも神戸方面からも
阪急電車の特急に乗って頂ければ10分少々、
また宝塚や阪神沿線などからも阪急今津線をご利用で
南北からのアクセスも可能。
そして駅からも徒歩2分と
お客様のニーズに少しでもお応えできる形と相成りました。

---

ね。
これが西宮北口の利便性。

今日、12月22日は、毎年恒例の特別セール。
10万円近い高額チラシを目玉に、
通常ラインナップの安価なチラシから
ハリウッド映画の韓国版チラシ、
和洋揃ったパンフレットなど豪華。
常連さんも集まって、映画談議に花が咲く。



店内の様子



パンフレットがずらーっと並ぶ




見事にファイリングされたチラシ群


僕はなぜか邦画のチラシに魅入られた。
未知の世界を垣間見て、まさに発見の連続だった。

例えば1954年公開の『ゴジラ』の製作費が
当時の5億円だと知った。
今で言うと、いくらくらいになるのだろうか。

また、チラシを見る限り、むかしの上映スタイルは
2本立てとか3本立てが多かったようだ。
しかしその組み合わせに驚く。
例えば、あだち充原作のマンガ
『みゆき』の実写版
『ナイン』のアニメ2本立て。
それ、どうなん。

さらなる驚きは、キンキン。
愛川欽也の製作・監督・脚本・音楽・主演、
『さよならモロッコ』という作品のチラシを見た。
キンキン、ひとりでやりすぎ。



ちなみに僕は『細雪』のチラシを購入。
300円と意外に安かった。



ともあれこうして西宮にひとつ、
映画を語らう場所ができた。
もちろん商品を売るお店なのだが、
アットホームな雰囲気が
語らいの場(=サロン)的でもあった。

西宮映画館建設の発案者として、
これはうれしいトピックである。

 

つづく。

 

参考:http://www.nk.rim.or.jp/~cinema-g/
   (シネマガイド)

                                  

 2002/12/23


「映画配給はベンチャーキャピタル」

先日、テレビ東京系列で放映された
「ガイアの夜明け」では、
昨今の国内映画ビジネスが取り上げられていた。

片や、46年前から日本に洋画を紹介し続けてきた
大手配給会社「日本ヘラルド映画」の社長。
片や、起業して6年の配給会社
「クロックワークス」の映画買い付け人を追い、
華やかな世界の裏側で動く、
ビジネスとしての映画産業を紹介していた。

フランス・カンヌで開催される、
世界最大のフィルムマーケット(=映画市場)。
海外に映画を売り込みたい作り手、
自国に映画を持ち込みたい買い手、
75ヶ国、9000人以上の映画人が一堂に集まり、
独占契約、値段交渉といった
熾烈なビジネスレースが展開されていた。

ここでは、映画は作品である以上に、商品。
それが自国でウケるかウケないか。
儲けられるか、儲けられないか。
求められる視点は、その一点のみだ。

資金力のある大手企業は、
ときに原作の内容と監督名だけで判断し、
まだ出来上がっていない作品を
10億もの巨額で買い付ける。
クロックワークスのような人員の少ない企業は
社員が足のマメをつぶしてまでも会場を走り回り、
他社より早く良作を購入しようとする。
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』
を2000万円で購入し、
18億円の興収を生んだのは記憶に新しい。

ただし、いくらビジネスシーンの
最前線に立つ者とはいえ、
やはり根底は、映画好きである。
巨人・原監督の「ジャイアンツ愛」じゃないけれど、
それぞれが「映画愛」を抱えている。

ヘラルドの社長・古川博三氏は語る。

「映画配給はベンチャーキャピタルと
 一緒だと思うのね、基本的には。
 映画ひとつひとつがベンチャーであって、
 その中にキャピタル(資金)を入れていく。
 それは会社を育てていくことと同じ。
 育てるって意識がないと、
 僕は映画の仕事をやっちゃいけないと思う」

映画に携わる者として、
映画への愛は必須なのである。

西宮最後の映画館「今津文化」の元館主、
田中健さんの話を思い出した。
同氏がかつて、とある日本人映画監督の
新作発表会に立ち会い、
「今回の作品はいまいち」と語ったことに
激昂したのだという。

監督が作った作品は、
配給会社から末端の「映画館」で上映される。
システムとして、映画館で上映する作品は、
属する系列の配給会社から指定される。
つまり、監督自ら「いまいち」と評する作品の興収が
映画館を運営する家庭の生活費に直結するわけで、
「そんなバカなことを言うな」
と思いをぶちまけたそうなのだ。

当たり前である。

映画館の売上げはもちろん、
監督自ら否定するなど「映画愛」が感じられない。
独特のへりくだりだったのかもしれないが、
それにしては軽はずみではないだろうか。

僕は、映画館を作ろうとしている。
そこに「映画愛」はあるつもりだ。
この思いの強さが実現を左右すると感じている。

あなたは映画が好きですか。

 

つづく。

 

参考:http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/
   (テレビ東京「ガイアの夜明け」)

   http://www.herald.co.jp/
   (日本ヘラルド映画)

   http://www.klockworx.com/
   (クロックワークス)

                                  

 2002/12/24


「スタジアムの閉鎖は寂しい」

12月24日、クリスマスイブ。
イルミネーションに彩られた世の中は、
愛を生み、さらなる愛を育んだ。
ここ西宮も、例外ではなく。
(一部の市民を除きます)

しかし、失われるものもある。
西宮スタジアムの解体が決定し、
今日、最後のイベントとなる
「感謝式」が行なわれた。
いよいよ65年の歴史に幕を下ろす
本当に最後のイベントだ。

以下、zakzakより引用。

---

1937年にオープンしたスタジアムは
プロ野球阪急ブレーブス(現オリックスブルーウェーブ)の本拠地で、
アメリカンフットボールの試合にも使われ、
関西アメリカンフットボール協会の古川明理事長は
「スタジアムは過去2回の閉鎖の危機を乗り越えた。
 今回も奇跡が起こってほしい」とあいさつ。
羽間平安・同協会会長と山田知西宮市長がそれぞれ
スタジアムを所有する阪急電鉄(大阪市)などに感謝状を贈り、
山田市長は
「市民に親しまれてきたスタジアムの閉鎖はとても寂しい」
と述べた。

---

2002年、夏。
解体が決定的になっていたスタジアムから漏れる
SMAPコンサートの声に、
僕は感慨深くなっていた。
「こういうのも、今年が最後か」
またひとつ、文化施設が消えゆく事実に
ただただ悲しみを覚えるばかりだった。

このまま西宮は、勢いをなくしていくのだろうか。
不景気だからといって、静観していていいのだろうか。
義務感、なんて恐れ多いものではない。
けれど「僕ができる何か」を模索し始めたのも確か。
行き着いたのは「映画館を建てよう」だった。

「文教都市と言うけれど、
 映画館のひとつもないなんて」

先日のさくらFM懇親会で、
熟年パワーズのみなさんもこう言っていた。

「人口が40万人もいる街で映画館がないなんて、
 日本中どこ探しても、西宮だけや!」

アメリカは、1万人に1館の割合で
映画館があるという。
世界的に見て歴史と文化に乏しい同国にとり、
映画が最大の文化でありビジネスである、
という見方もできるけれど、
いかに映画が身近なものかが分かる。
西宮は、40万人に1館もないのだ。

先人たちのお力添えをいただきながら、
新しい歴史は新しい世代が作る。

僕にそれが、できるだろうか。

 

つづく。

                                  

 2002/12/25


「もしもし、いま映画観てんねん」

映画館でケータイの電源を切らず、
あろうことか、かかってきた電話を取り、
応答する客がいる。

ケータイが普及したのは、ここ数年のことだ。
それまで電話を持ち歩くなんて
一般市民には想像もつかなかったのに、
今では持たない方が珍しいほど浸透した。
また、それに比例するように、
マナーについての議論が多くなされてきた。
その最たるものが「電車内での使用」だろう。

僕がケータイに関するメルマガを発行していた頃、
600人ほどの読者に向けて、
電車内の使用に関する意見を募集したことがある。
まだポケットベルが世の中に残っていた時代だ。
当時の意見としては、

1.配慮して、電源を切る。
2.せめてマナーモードにすればいいのでは。
3.少数派(ペースメーカーの人)のために切る必要はない。

と、それぞれだった。
今ではどの電車に乗っていても、
できるだけ使用しないよう、
注意のアナウンスが流れるようになった。
電車でのケータイの使用はよくない、
という風潮が高まったからである。
(とはいえ、まだまだ使用者はいるが)

さて、映画館はどうか。
さすがに電車ほど使用者は見かけない。
上映途中で時間を確認するために
まぶしい液晶画面を点灯させる人はいるが、
基本的にはいないと言っていいだろう。
静かな空間が、周りに迷惑だということを
当たり前のように気付かせるからだ。

しかし、例外もある。
僕は2度だけ、着信音を響かせる人に遭遇した。
その2人とも、上映中に、電話に出た。
ひとりは、中年の女性。
小さな声で、折り返し電話することを相手に告げた。
もう一人は、ギャル系の若い女性。
「もしもし、いま映画観てんねん」
街中で話すように、普通の声を発していた。

ばかですか。

こういう人は、どう対処したらいいのだろう。
稀なケースではあるが、完全になくなることはないはず。
クラシックコンサートの会場で
電波を遮断する特殊装置を設置する、といった
自主的な対応はこれまでにもあったが、
ああいうのは今でもあるのだろうか。
それほど普及していないということは、
各自のモラルに委ねられるべき、
という大人な意見が上回ったことを意味するのか。

ニューヨークでは、先日、条例が制定された。
映画館や劇場での上演中、
着信音が鳴っただけで50ドルの罰金。
さすがは法律の国・アメリカである。

しかし、それが本当に正しいことかどうかは分からない。
東京は千代田区のタバコのポイ捨て条例のように、
「そこまでしなくても」という範疇かもしれない。
そもそも、その抑止力は未知数だ。

最近、大阪の映画館に行くと、
上映前に、ひとりのスタッフが館内に現れる。
ケータイの電源を切りましょう、
上映中の飲食は控えましょう、
ホールではグッズを販売していますよ、
といった案内を、客に直接語りかける。

とてもいい傾向だと思う。
心に訴えかけることで、
客との距離が精神的に近い。

仮に僕が西宮に映画館を建て、館主になったとしたら、
客との距離を近く取りたいと思う。
例えばケータイなど注意を促すだけでなく、
上映前に軽く漫談を始めるのもアリだ。
「今日はいいお天気ですね」から始まって、
「この映画はですね」と語り始める
劇場駐在ヨドチョーさんを目指すのはどうか。

…随分、気の早い話でした。

 

つづく。

 

参考:http://www.zakzak.co.jp/top/t-2002_12/3t2002121915.html
   (NY市議会、条例を可決 zakzak 2002/12/19

                                  

 2002/12/26


「わざわざ東京から来られる方もいてね」

今月いっぱいで営業停止の西宮スタジアムを訪れた。
ゆずのコンサートを観に行ったり、
警備員のアルバイトをしたり、
フリーマーケットで白黒テレビを買ったりと
いろいろと思い出深い、同スタジアム。
いよいよ、本当に、最後の刻だ。

管理窓口の守衛さんに声をかけた。
せめてスタジアムの中に入れてもらい、
最後の姿をファインダーに収めようと、
カメラ持参でお願いしたのだ。

「基本的にはお断りしてるんですわ。
 個人的には入れてあげたいんやけど、
 ここで止められるように言われてましてね」

僕のような人間が、1日何人もやってくるという。
西は広島から、東は東京から、
阪急ブレーブスのファンだった人、
かつてこの地に住んでいた人、
などが名残を惜しんで訪れるそう。
ひとりひとり対応し切れないので、
申し訳ないですが、とのこと。

しょうがあるまい。

そもそもスタジアムの営業自体は
すでにストップしているそう。
今日はNHKの取材があるということで、
窓口もたまたま開いていたらしい。
守衛さんの言葉には、悲しみが含まれていた。
外から撮る分には一向に構わないので、
というありがたいお言葉をいただき、
感慨深げにシャッターを押した。



今見ても立派な外観



閉じられた入場門



もう、催事の予定はない



隣りにある、僕が生まれて初めて行ったラブホテル。
西宮北口唯一のもので、関学生の御用達(?)。



解体するかどうかは、我々には分からない。
次に何を建てるかによるし、
上層部しか知らないこと。
もしかしたら市民の通り道になっている
スタジアム前の広場も閉鎖されるかも、
といろいろお話してくださり、守衛さんに感謝。

ひとつ、歴史の幕が下りた。

 

つづく。

 

参考:http://www.hankyu-as.co.jp/nishinomiyastadium/nishinomiya.htm
   (阪急西宮スタジアム)

                                  

 2002/12/27


「95年のギネスブックに載った映画館」

友人のアキヨちゃんと、
西宮でしか観られない映画がやってるといいよね、
という話になった。
これまで口をお酢の味にしながら言い続けてきた
「映画館というハコ的特質を追求する」のとは別に、
上映する映画そのものに独自性がある、
という視点で考えてみるのはどうかと。

彼女も先日のテレビ「ガイアの夜明け」を観たらしく、
タイの映画『わすれな歌』を買い付けた
クロックワークスの目の付け所はいいよね、
と話は盛り上がった。
例えばパラグアイで撮られた映画、とか
エロマンガ島でロケされた映画、とか
他の地域では絶対やらないラインナップが
西宮映画館のウリになるかもしれない。

独自性、という意味では、
ギネスブックにも載ったことがある
「日本一のこだわり映画館」
を避けては通れないだろう。
大阪は日本橋にある
「国名小劇
(くにめいしょうげき)」である。



「ミニパラ」より


支配人の井川雄迪
(いかわかずふみ)さん曰く、
「大阪の日本橋にまで
 お客様に足を運んでもらうには、
 施設、営業、上映作品の選択に
 こだわることが大切と考えた。
 利益追求に縛られない名画座が
 ひとつあってもいいじゃないか」。

すごいのは、24時間営業であること。
コンピューター制御の無人映写機を用い、
オープン以来、連日オールナイト上映を実施。

ビル地下1階の狭い劇場スペースで、
席数は36しかないけれど、
座り心地はまるで飛行機のシート。
音響も、大劇場並みの音響器材を導入するこだわり。

上映作品は、大劇場では興行面で難しい
ものなどから候補をピックアップ。
1作品の上映期間は2週間、という決まりのおかげで
遠方からのファンも確実にお目当ての作品が観られる。

上映時間を告げるアナウンスも、ナイス。
日本語アナウンスのあと、
フランス映画にはフランス語、
イギリス映画には英語のアナウンスが流れる。
上映前から雰囲気を演出するわけだ。

途中入場も「他のお客さんの迷惑になる」
との理由で、お断り。
そのためビル内の喫茶店の無料コーヒー券を
上映待ち30分以上の客にプレゼントする。
もう、そこに利益至上主義はない。

問題は、15周年を迎えた今年、
惜しくも閉館してしまったことだ。

理由は知らない。
経営難、と見るのが正当だろう。
「日本一のこだわり」も、
この平成大不況には勝てなかったか。

関西の失業率は、実質10%近いと言われている。
特に、大阪や兵庫はひどい。
こんな状況で、映画館なんて建てられるだろうか。
建設はできても、運営はできるだろうか。

でも、僕は諦めないよ。

 

つづく。

 

参考:http://osaka.yomiuri.co.jp/feature/tanken/020115.htm
   (関西探険 Yomiuri on-line 2002/01/15 
注:リンク切れ

   
http://www.minipara.com/kansai-mini/theater/kunimei/index.shtml
   (ミニパラ/国名小劇)

 

                                  

 2002/12/28


「朝日がサンサン、おはようさん」

でおなじみの(古いか)
朝日新聞から電話があった。
西宮に映画館を、と声高に叫んでいる若者に
直接会って話がしたいということで、
記者さんと食事を共にすることにした。

とある件に関し、とある人脈から
僕の連絡先が伝わり、
こうしてお会いすることになったというわけ。
とあるとあるばかりだが、
今はまだ、シークレットなわけでして。
ひとつ言えるのは「1月に何かがある」
ということかな。
期待していてくださいまし。

ちなみに今回のことで
僕の活動が記事になるかどうかは分からない。
とにかく情報交換したといった感じで、
楽しい時間を過ごさせていただいた。
「新聞記者」という人種に初めて会い、
とても新鮮でもあった。

しかも記者さん、僕の仕事仲間の
大学の先輩であることが判明。
人ってどんどんつながるなあと
思わず感心してしまった。
記者さん、今後ともよろしくお願いいたします。
(名前の明記して良いか確認し忘れましたので、
 記者さんと書かせていただきます)

お伺いした話の中から
ここで公表できるものといえば、
「神戸は言うまでもなく、
 西宮、宝塚、芦屋はヤバイ!」
というのがある。

何がヤバイのかと言えば、財政。
国から借り入れていた震災のツケ(市債)を
返済する時期に入っているそうで、
宝塚市など、このままいけば
来年は市役所が倒産するぐらいの勢いらしい。
なんか、ものすごくリアル。

ついでに日本国の来年度予算を見てみよう。
政策に充てる一般歳出(収入)は47兆6000億円、
過去最高の国債(借金)36兆4000億円を発行、
一般会計総額(支出)は81兆8000億円。

なんだこりゃ。

800円の焼き肉弁当を買うたびに
半額の400円を友達から借金する、
それを1000億回くりかえす計算になる。
要するに日本の財務省には
「世界一のやりくり下手な主婦」
がいるようなもの。

頑張ろうよ、日本。
西宮も、頑張ろうよ。

 

つづく。

 

参考:http://www.city.takarazuka.hyogo.jp/zaisei/ZAISEI14/PAGE001.htm
   (宝塚市、平成14年度の財政見通し)

                                  

 2002/12/29


「カラオケボックスに映画館?」

大阪は守口市にあるカラオケボックス
「LA HEART」に行って来た。
噂のシネマボックス(10月29日の日記参照)が
導入されているところだ。

カラオケルームを改装し、
ホームシアターセットを持ち込んだ部屋。
なんとなくお座敷というか、
床に座る空間をイメージしていたのだが、
元来のソファをそのまま使用(たぶん)。
座り心地は上々だ。



食い入るようにスクリーンを見つめる友人。


今回、僕は『スターウォーズ』のDVDと
レンタルショップで借りてきた映画
『ロッキー・ホラー・ショー』のビデオを持参。
ここはあくまで「部屋を貸す」ことが目的で、
レンタルショップは併設していない。
何本かのDVDを無料で貸し出してはいるが、
基本は「作品持参」である。

まずは『スターウォーズ』の戦闘シーンで
その迫力を確かめた。



めちゃくちゃ強いヨーダさん。


100インチのスクリーンを張る知人宅で
「もう、映画館行かんでもええな」
と思わず口走ってしまったくらいの迫力と
同じものがよみがえってきた。
迫力を「確認」するどころか、
そのままラストシーンまで観てしまった。

続いて『ロッキー・ホラー・ショー』。
DVDとビデオの切り替えは店員任せなので、
カラオケのように内線で呼び出し。
ここでは他にプレステ2も楽しめるし、
テレビ(地上波)もOK。
スポーツバー感覚で、友人たちを集め、
サッカーに熱狂するもよし。

取材に同行してくれた友人は言う。

「なかなかイイ感じやったね」

これで恋人を誘う下準備は出来た、と
お互い恋人を探す下準備に取りかかる2人。
「カラオケボックスで映画が観れる」というのは
ひとつの誘い文句になるかもしれない。

カップルの方、ぜひどうぞ。

 

つづく。

 

参考:http://www.cinebo.com
   (シネマボックス)

   http://www.tousyo.co.jp/la_heart/
   (LA HEART)

                                  

 2002/12/30


「参加することに意義のある映画」

映画『ロッキー・ホラー・ショー』は、
そう形容されている。

昨日、シネマボックスで観た同作品は、
1975年公開のアメリカ映画。
ロンドン発のミュージカルが
ブロードウェーに進出し、映画化。
当初は不評だったが、リピーターの行動から火が付き、
その後再上映、そして今なお上映は続いている。
もちろんここ、日本でも。

リピーターの行動とは何か。
「映画に参加すること」である。

ストーリーは、あってないようなもの。
嵐で道に迷い、タイヤがパンクしてしまった
ブラッドとジャネットは、
救いを求めて近くの古城を訪れる。
そこで繰り広げられるマッド・サイエンティストの
イカれたダンスパーティ。
そして生まれる、人造人間。
ロックなミュージカル調の演出が
1時間半ほど続く。

観客は、これに「合わせ」た。
スクリーンに映る登場人物の一挙手一投足をまね、
ダンスシーンで一緒に躍る。
コスプレ要素もたっぷりの、
カルトな空間を本気で楽しむ。

例えば、結婚式のライスシャワーのシーンで
米粒を投げる(スクリーンに投げるのはご法度)。
ジャネットが雨を新聞紙で防ぐシーンでは
みんなで持参の英字新聞を頭にかぶる。
同じくジャネットが下着姿になるシーンでは、
下着姿(しかも白のブラジャー)になる者も。
歌う、躍る、手拍子などは当たり前、
「仮装が正装」とまで言い切ってしまう
実に濃ゆーい鑑賞スタイルなのだ。

今日、12月30日。
大阪は九条にある映画館「シネ・ヌーヴォ」にて、
同作品が上映された。

「いやあ、すっげえ空間でした。
 あれは病み付きになりますねえ」

とか言えれば良かったのだが、
さすがに来場する勇気が僕にはなかった。

作品への愛がまだそれほどない、
マニアたちに冷やかしだと思われる、
ダンスの振り付けを覚えていない、
ゲイに襲われたらどうしよう、
(性倒錯者の博士が映画に出てくるんですよ。
 しかも最近、襲われかけましたからね、実際)

など理由はさまざま、つまりはビビリ。
カルトの中のカルト、
「キング・オブ・カルト」はまだまだ
僕とは遠い世界のようで。

それにしても、映画の鑑賞スタイルに
「参加」があるとは驚きだ。
歌舞伎やストリップのように
合いの手を入れるのとはまた違い、
映画と「一体化」し、さらには観客同士が一体となる。
映画への「感情移入」を極端化させた形であり、
とても重要な参考例である気がしてきた。

今度、機会があれば、どなたか一緒に行きませんか。
白い下着姿になれる脱ぎっぷりのいい女性とか。

 

つづく。

 

参考:http://wing.zero.ad.jp/~zbf97446/guide.htm
   (『ロッキー・ホラー・ショー』とは)

   http://wing.zero.ad.jp/~zbf97446/participating.htm
   (初心者参加マニュアル)

   http://www.ifnet.or.jp/~kei-t./j/timewarp/twbs.html
   (ダンスシーンの振り付け案内)

   http://terra.zone.ne.jp/cinenouveau/
   (シネ・ヌーヴォ)

                                  

 2002/12/31


「それじゃあ、宿題ね!」

2002年も、今日で終わり。
映画館建設日記「ニュー・西宮・パラダイス」も、
これがひとつの節目。

まずはこの3ヶ月間、ありがとうございました。
インタビューに応じてくださった方はもちろん、
取材先でお世話になった方々、
相談に乗ってくれた友人たち、
そして毎日アクセスし、一心不乱に(?)
読んでくださった読者のみなさん。
本当にありがとうございました。

活動は、いよいよ佳境に入ります。
情報収集は今後も継続する一方、
肩書きのない青年が映画館を建てる、
という途方もない構想に
具体案を盛り込む時期になりました。

友人と、まだ文字には出来ない方策を練る中で
「それじゃあ、宿題ね!」と言われた
アイデアの具体案を、実家に帰り、
このお正月に詰めてみます。
新年気分に呆けてしまうかもしれないけれど、
数日の間、パソコンの画面から離れ、
天から降りて来るアイデアを待ち望み、
2003年のさらなる活動を誓います。

復活は、おそらく新年7日の予定。
少し間は空きますが、充電してきたパワーを
全力で放電すると約束します。
お楽しみに。

それではみなさん、良いお年を。
初詣には、ぜひとも
「西宮に映画館が出来ますように」
とお願いすること、お忘れなく。

 

来年につづく。

                                  

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